代表取締役 寄口様
有限会社ツカサ
資金繰りに苦しんだ時期から業績に変化が
- 外壁工事の職人として独立。平成11年に法人化。質の高い仕事を圧倒的なスピードで行えるという強みを武器に、走り続けた20年の紆余曲折を社長の寄口氏と振り返ります。
- 資金繰りに苦しんだ時期から業績に変化が
- 寄ロ:一番は長男が会社に入ってくれたこと。息子が会社を継いでいくのだったら、借金を残したまま継がせるわけにはいかないな、と。
裕美:やっぱり!そうではないかと思っていました。息子さんは最初から後を継ぐつもりだったのですか?
寄ロ:ちょうど酒々井の現場を受けたとき、息子が3カ月毎日電車で1時間半かけて通って助けてくれたんだよね。震災のあとで仕事がまるっきりなくなって、借金も増えて職人も離れてしまってたった一人。ようやく見つけた仕事が千葉で。自分ひとりでもどうにかするしかないと覚悟してうけた仕事で、当時はまだ20歳そこそこなので本人の気持ちはわからなかったけど、でも“コイツはやってくれる”と思い始めたんです。自分の中では見方がまったく変わりましたね。
裕美:それで自分にスイッチが入った。
寄ロ:もう、やるしかないな!って。それで息子にも言ったんです。借金なくしてきれいにして渡すからそれまで協力してくれって。そしたら「わかった」って言ってくれたんです。
裕美:約束したんですね、言葉にして。
寄ロ:彼も正直に言ってくれたことが嬉しかったみたい。「ついていくから」と。
裕美:今までで一番辛かったことってなんでしょうか?
寄ロ:仕事がなくなったこと。震災の後まったくなくなった。材料を作る工場も止まってしまったし、下請けまで仕事も材料もまわってこない。2力月間まるっきりなし…。人生でそんなことなかったから本当に辛かった。そのときすごく考えたわけです。上にいかないとダメだと。
裕美:なるほどー。だから酒々井アウトレットの仕事、遠くても行ったんですね。
寄ロ:仕事がやれなくて悔しい思いをしている直後に知人に紹介してもらった仕事でしたから!それに他の職人が遠慮しがちなやりたくない現場こそ、自分が!って思いは昔からあったから。
裕美:仕事が切れたことがない強みもそこにありそうですね。
寄ロ:そういえば人の紹介やロコミで知った人からの依頼がほとんどかな?営業らしい営業なんてしたことないかも。困ったときは電話してって言ってあるだけ。(笑)
裕美:困ったときに登場したらヒーローですね!(笑)
寄ロ:そうなの。納期が間に合わないっていうときも相手の想像よりも早く仕上げるわけだから!!(ドヤ顔)なんなのこの職人さん!? みたいな。(笑)
裕美:早くて質が良ければ最高ですものね!早さの秘訣は?
寄ロ:段取りにつきますね。ひとりでも早いけど、人がいたらどんどん動かす。休むときはしっかり休むけど、動くときはボーっとしている暇なんてなし。残業とか一切しない方針だから。個人の時間も大切にしているから、人がついてきてくれるんだと思う。みんな一生懸命にやってくれています。
裕美:寄口さんの強みがよくわかりました。資金繰りに苦しんだときも、仕事さえあればなんとかなるって思いだったんですね。
寄ロ:そうですね。でも売上はあげていたけど、お金の使い方が悪かったというか(笑)。あまり考えていませんでしたね。みなさんの助言のおかげ。そして僕自身が変わったことがすべてですね。 - 業績向上への具体的な取り組み
- 裕美:心境の変化を感じたことは他にもありました?
寄ロ:あとは富士山に登ったときかな!目標を明確 にしていこうって思ったのが。
裕美:富士山?
寄ロ:そう。富士山てすごく深くて、簡単に登れる山なんだけど登れない山。予定しても行けなくなってしまったり、天候が悪くて登れなかったり。今年も登れなかった…不思議な山。初めて登りきったときはワンワン泣いたよ(笑)。
裕美:感動したんだ。
寄ロ:登っている途中にいろいろなアクシデントが起こるんだよね。足が痛くなったり、頭が痛くなったり、強風に見舞われて地べたに伏せたり、隠れるところないから富士山は。もうあきらめようかって何度もなるの。そしてふと思ったんだよね、なんか人生そのものだなって。
裕美:なるほど!
寄ロ:ひとつひとつ乗り越えていく感じが人生の縮図みたく思えて。ああ、目標ってこうやってクリアしていくものなんだってわかったんだよね。だったら登れない山はないぞってね(笑)。
裕美:コツがわかったんですね。
寄ロ:目標を立てることと同時に、どうすれば達成できるかってところを本気で考えるようになったし、それが実際にできるようになったよね。ちゃんと納税できる会社!(笑)
裕美:しっかり利益も出て何よりですね!でもなんでなかなかできなかったんだろう? (笑)
寄ロ:お金があるときって、なんていうかな、お金がある気持ちになっちゃう!?(笑)どんぶり勘定なんだよね、もともとの性格が。いまだにその傾向あるしそれを自覚できるようになったね!(笑)
裕美:仕事に対してはいつももの凄くエネルギッシュでしたよね。でも資金繰りはなかなかよく ならなかった?(笑)
寄ロ:会社を大きくしたいって気持ちはあったけど、“椅子に座ってるのが社長だみたいなところがあったと思う。動かないのが社長だ、みたいな。今はまるっきり逆。動き回るのが社長だよね。
裕美:仕事を楽しく感じるのは今も昔も一緒?
寄ロ:今の方がずっと楽しいな! 楽しさの質が大きくかわった。充実してるっていうのかな。
裕美:目標とするものが変わったんですね。
寄ロ:当時も自分の中では目標は設けていたんだろうけど、漠然としてるし、そのための具体的な取り組みもできていなかったしね。だって元々どんぶり勘定だから(笑)。
裕美:良くも悪くも楽天的!
寄ロ:今も性格は一緒ですよ。ただ今は決して社長業にふんぞり返ることなく、ひたすら動き回っています。一職人として、一商品として。息子という第二の商品もでき、親子で旭化成のパワーボードマスターにもなりました!
裕美:職人認定試験ですね。
寄ロ:ええ。この資格を持っているとお客さんに安心感を与えられます。親子で資格をもっているのもうちだけです!
裕美:大事ですよね。まさに目標に向かってひとつひとつ積み上げていっていますね!